未払残業代の精算

IPOの準備過程で、過去における未払い残業代の精算がなされることが多いです。

この未払残業代の精算にあたっては、2つの方法があります。

1)未払残業代を一時金として支払う

2)未払残業代を給与の未払いとして遡及して支払う

1)未払残業代を一時金として支払う方法

未払残業代を損害賠償金的に一時金として支払う方法です。

①法人税

支払った日の属する期の損金となります。

②所得税

賞与として取り扱われ、支払いを受けた年分の給与所得となります。翌年度の住民税の負担が、通常年度に比べて多くなります。

なお、過去の未払残業代を支払った法人には源泉徴収義務がありますが、源泉所得税は、過去の未払残業代を支払った日の属する月の翌月10日までに納付しなければなりません。

③社会保険

賞与を支払った場合と同様に取扱われ、過年度分の社会保険料や労働保険料の計算の修正は必要ありません。

2.未払い残業代を過去に遡り給与を修正して支払う方法

未払残業代を、過去にさかのぼり給与を修正して支払う方法です。

①法人税

過去の事業年度の損益修正は必要なく、支払った日の属する事業年度の損金となります。

②所得税

契約等により支給日が定められている給与等に該当するため、過年分の給与所得として修正します。

過去の未払残業代を支払った法人には、過去の年末調整をやり直し、源泉徴収票や給与支払報告書を再提出します。

国税庁からは下記の質疑応答も出されています。

https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/gensen/03/41.htm

年末調整のやり直しに伴い発生する税額は、過去の未払い残業代の支払いを行った日の属する月の翌月10日までに、納付します。

なお、社員が確定申告をしていた場合には、年末調整のやり直しで完結しないため、修正申告する必要がある旨を通知します。

 

③社会保険

未払残業代が、過去の過年度の4月から6月に対応するものであれば、算定基礎届の再提出及び労働保険料等申告書の再提出をします。

現在役員の者に対し、使用人の時の未払残業代を支払った場合には?

上記の①で支払った場合には、定期同額給与以外の給与ということになり、損金不算入となります。

②でやれば、使用人のときの給与の未払いという扱いになるため、損金算入できます。

未払残業代の精算は面倒ですね。

未払残業代の精算について、どう思われましたか?

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