収益認識に対する会計基準への法人税の対応(1)

国際会計基準審議会(IASB)と米国財務会計基準審議会(FASB)は、共同して、収益認識に関する包括的な会計基準の開発を行いました。

2014年5月「顧客との契約から生じる収益」(IFRS15号)を公表しています。

この基準は、2018年1月1日以後開始する事業年度から強制適用となります。

日本においては、企業会計基準委員会(ASBJ)が、国内外の比較可能性の確保の観点から、IFRS15号の定めを基本的にすべて取り入れた会計基準を開発しました。

2018年3月30日に、企業会計基準第29号「収益認識に関する会計基準」等を公表しています。

新会計基準は、顧客との契約から生じる収益に関する会計処理及び開示について適用されます。

ただし、次の取引については適用されません。

  • 「金融商品会計基準」の範囲に含まれる金融商品に係る取引
  • 「リース会計基準」の範囲に含まれるリース取引
  • 保険法における定義を満たす保険契約
  • 同業他社との交換取引
  • 金融商品の組成又は取得において受け取る手数料
  • 「不動産流動化実務指針」の対象となる不動産の譲渡

新会計基準では、約束した財またはサービスの顧客への移転を、その財またはサービスと交換に企業が権利を得ると見込む対価の額で描写するように、収益を認識するのが基本となる原則です。

具体的には、顧客との契約から生じる収益を認識するために5つのステップに分けて考えます。

  • ステップ1 顧客との契約を識別します
  • ステップ2 契約における履行義務(収益認識の単位)を識別します
  • ステップ3 取引価格を算定します
    • 値引き、リベート、返金等、取引の対価に変動性のある金額が含まれる場合は、その変動部分の金額を見積もり、その部分を増減して取引価格を算定します。
  • ステップ4 契約における履行義務に取引価格を配分します
  • ステップ5 履行義務を充足したときに、または、充足するについて収益を認識します。

なお、割賦販売における割賦基準に基づく収益認識は認められませんので、注意が必要です。

たとえば、商品の販売と保守サービスを提供する場合の収益認識を考えてみます。

商品の引渡しは当期首、保守サービスは当期首から翌期末までの2年間とし、契約上の対価の額は1400円だったとします。

  • ステップ1 顧客との契約を識別します
  • ステップ2 商品の販売と保守サービスの提供の2つに履行義務を峻別します
  • ステップ3 取引価額は1400円です。
  • ステップ4 商品の販売は1000円、保守サービスの提供は400円に取引価格を配分します。
  • ステップ5 商品の販売は一時点で当期の収益として1000円を認識します。保守サービスの提供は一定期間(2年間)にわたり1400円を認識します。契約期間は2年間のため、当期の収益は200円、翌期の収益は200円を認識します。

新会計基準は、連結財務諸表及び個別財務諸表の両方ともに、同一の会計処理が適用されます。

中小企業(会計監査の対象となる法人以外の会社)については、引き続き企業会計原則に則した会計処理も認められます。

新会計基準は、2018年4月1日以後開始する事業年度から適用することもできますが、2018年12月31日以後終了する事業年度から適用することもできます。

2021年4月1日以後開始する事業年度からは強制適用となります。

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